ロングランエッセイ
Vol.84 街路空間
札幌の大通近くに、スウィーツの専門学校をつくった。学生のスウィーツ店舗の実習や研修のためのカフェを一階につくった。そのカフェは一般の人も入れるようにする予定なので、街ゆく人が立ち寄りやすいように建物の一部をアーケードにし、誰でも座れるテーブル席を屋外につくった。ヨーロッパなどでは良く見られるが、冬の厳しい札幌ではなかなかできなかった。ようやくそれをつくるきっかけとなった。
ここの近くのお店がまとまって、美味いものをテイクアウトできるイベントをやった。札幌でも有名な、お寿司屋さん、おでん屋さん、イタ飯屋さんが参加してくれたおかげで道路に行列ができるほど盛況だった。アーケードに設けたテーブル席は、すごく評判が良かった。座れなかった人は道路沿いの腰壁にも腰掛けて食べていたので、道路までがすっかりお祭り気分になった。建物が街に溶け込み、お祭りに参加している感じになって、そこに座っている人は、すっかり街の風景の一部になっていた。
このように建築が街を楽しくできるのだから、街に溶け込む建築が増えれば札幌はもっと魅力的になる。極寒のホワイトイルミネーションや雪まつりの時に、このアーケードで仲間とホットワインを飲もうと思っている。札幌の冬の街を楽しいものにしたいと思う。
住宅雑誌リプラン・99号より転載