ロングランエッセイ

Vol.89 二十五年賞

URB HOUSE PHOTO

 日本建築家協会では、竣工後二十五年以上経っても建築としての魅力が失われていない建築を「二十五年賞」として表彰している。今年度の「二十五年賞」に、私の設計したコンクリートブロック造の高柳邸が選ばれた。私は外壁のコンクリートブロックを二重に積んで、その間に厚い断熱材を入れる外断熱のコンクリートブロック住宅をつくってきたけれど、住まいの性能が良いことと高い耐久性のおかげで、二十五年経ってもびくともしないことが認められた。このようなコンクリートブロックを二重に積んだ外断熱の住宅は、北海道で育った技術の詰まったもので、道外では建てられることがなく、まさに北海道の特産品で、もっと道外に宣伝したいと思っていたからありがたい。
 今だから言うが、コンクリートブロック住宅をつくり始めたころは、この性能の良さから北海道中にコンクリートブロック住宅が広まり、全ての家がコンクリートブロックでできている街、イタリーにある中世山岳都市のような街ができ、百年も経つとその街並みを見に来る人で賑わうに違いないとまで思ったものである。しかし、実際は札幌を中心に四十軒ほどが建っただけである。どれもしっかり元気で、それぞれに二十五年賞に値すると思う。
 住宅を建てる時に、つくる人と使う人と考える人の三者が、ひとつになって初めて良いものになるといって工事を始めるが、その信頼が二十五年続いたという証拠であり、ありがたいことであり、私の財産である。同じコンクリートブロックの家で、娘さんが移り住んでくれるという家が、三軒もある。ということは、二十五年後に五十年賞も夢ではない。その頃には百歳近くなっているが、それまで頑張れるだろうか。

住宅雑誌リプラン・104号より転載


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